桔梗屋 御朱印の旅

神社ばかりお参りしてまわっております。戴いた御朱印が多くなってきたので、管理がてら公開します。御朱印以外の話も多いかも

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ご用材育成200年計画 神宮宮域林 悠久の歴史を支える巨木の森 【神宮月間】

 

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           ■おはらい町 五十鈴茶屋からの景色■

さて、神宮月間も残り10日を切りました。

だんだん神宮ネタもなくなってきました。毎日ブログを更新すると言うのはとても大変なものですね。何年間も毎日更新を続けられている方は本当に尊敬します。私は11月になったらまた気まぐれ更新に戻る予定です(笑)

ここのところ遷宮の話が続いているので、今回は御用材の調達地にもなっている神宮宮域林の話をしようと思います。

【神宮宮域林とは】

神宮の森は「じんぐうきゅういきりん」と呼ばれ、2000年前の天照大御神内宮ご鎮座からの歴史があります。約1300年前に第1回「式年遷宮」が行われた際に新たな社殿を建てるための材木を切り出す「御杣山」(みそまやま)と定められました。御杣山は檜材の不足により美濃国信濃国と変遷していきますが、神宮正殿の中央にたてられる「心の御柱」は今でも宮域林から切り出されており、心の御柱となる木を伐採する木本祭、その柱を立てる心御柱祭は秘儀として夜間に執り行われます。

【宮域林の植物】

宮域林に自生する植物は杉や樅などの針葉樹、榊や楠などの照葉樹のほか、他の地域には見られない「トキワマンサク」の自生地があったり、学術的にも貴重なヤブツバキの純林なども見られ、シダ植物なども併せると全部で850種もの植物が混在しています。

【宮域の管理】

神宮が所有する土地は、神々の斎庭である神域とその神域を囲む宮域林に分けられます。宮域林は内宮の南側にあり、五十鈴川の水源である神路山、島路山と宮川流域の前山からなる5500haの広大な森林です。この宮域林はさらに第一宮域林と第二宮域林に分けられます。

《神域》

神域の森林は伐採厳禁とされ、倒木の危険や生育上の理由がない限りは生木を切ることは許されていません。内宮外宮にそれぞれ約90haの神域があります。ところで神宮の参道を歩いていると、参拝者に撫でられ幹がつるつるになってしまった木などが見られます。根本付近にダメージが蓄積すると木が枯れてしまう恐れがありますので絶対にやめましょう。みんな触ってるし、ちょっとくらい触っても平気だろう、と思いがちですが、その一撫で一撫でが徐々に木を枯らし、延いては神域を汚す行為になると心得ましょう。

《第一宮域林》

第一宮域林は神域の周辺と宇治橋付近、鉄道沿線から見える付近で、五十鈴川の水源を守るため神域と同じく正当な理由なしに生木を伐採することは許されていません。面積は1100ha。「ほぼ自然のままの状態であるため、その9割近くが広葉樹林で檜の林は1割にもなりません。

《第二宮域林》

第二宮域林は五十鈴川の水源の保護と御用材育成のための管理された林です。4400haもの面積の半分以上が檜の森です。

 

【200年計画】

以前、式年遷宮の記事でも書いたことがあるかと思うのですが、式年遷宮では1万本もの檜の材木が必要になります。古代から始まった式年遷宮により、いつしか宮域の檜は採りつくされ、御用材の調達地は美濃国(岐阜県)や信濃国(長野)へ移りました。式年遷宮常に多くの檜を必要とします。このままではいつか日本中の檜を使い果たすことになってしまいます。

そこで1923年に200年単位の御用材育成計画が始まりました。この計画は200年後に育成プログラムが完成するわけではなく、200年後にやっと最初の育成の結果が分かるというだけですので、さらにそこから試行錯誤を重ね、より丈夫で美しい木の育成ができるよう新たな取り組みがされていくわけです。

この期間を長いと感じるでしょうか。2000年の歴史を持つ神宮の前では200年なんて流れていく時間のほんの一部に過ぎないんでしょうね。その間にどれだけの人がこの計画に携わることでしょう。計画が始まって100年が経つわけですから、初めに木を植えた人はもうこの世にはほとんど残っていないでしょう。遷宮そのものもそうですが、神宮について調べていると世代の繋がりや後続への信頼というものを強く感じます。

計画が始まってからおよそ100年が経った平成28の時点で直径1メートル以上を目標とする大樹候補は3万3000本、直径60㎝を目指す御用材候補は3万1000本となりました。

平成25年の第62回式年遷宮では 700年ぶりにこの宮域林から一部の御用材を供給することが出来たそうです。