桔梗屋 御朱印の旅

神社ばかりお参りしてまわっております。戴いた御朱印が多くなってきたので、管理がてら公開します。御朱印以外の話も多いかも

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【神宮月間】1500年の祈り 日別朝夕大御饌祭

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▲常典御饌の奉仕を終え、斎館に戻る神職さんたち。(古殿地近辺にて)

神宮では年間1500回もの祭が行われています。

今日はその神宮で行われる祭の半分近くを占める「日別朝夕大御饌祭」と言う祭りを紹介しようと思います。

【神々への供え物】

日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)はその名の通り、毎日、朝夕に神々への供え物を捧げる祭で常典御饌(じょうてんみけ)とも呼ばれます。外宮の御饌殿で行われ、両正宮の神々、両相殿の神々、両別宮の神々、あわせて六ケ所の神々にそれぞれ折櫃1つずつ食事が奉られます。

神饌の内容は、御飯三盛・御酒三献・魚・海藻・鰹節・野菜・果物・塩とお水、それとお箸です。なんか他の神社でみるお供え物と違うところがありますね。神社のお供え物というと、お皿に盛られた生米や二本の瓶子に入ったお酒を想像しませんか?「ご飯」が三膳、お酒が三献・・・実は神宮のお供え物は「調理」されているんです。そしてお箸もついていて、我々が食べる御飯に近い形でお供えされるのです。

このお供え物には様々な決まり事があります。まず、中国から入ってきた野菜を使わないこと。隠元豆などはお供えできません。また、スイカなど、お皿からはみ出てしまう大きな野菜や果物は献上されません。昆布や魚類はさすがに難しいですが、供えられる野菜やお米は全て宮域で神宮の職員によって育てられ、水も「上御井神社」(かみのみいじんじゃ)という井戸をお祀りした神社から汲まれたもので、殆どのお供え物が神宮の敷地で作られたものです。更にこれらの作物は調理されてお供えされるのですが、調理の為の火は参籠(神社の敷地内に籠り、身を清める事)をした神主さんが忌火屋殿(いみびやでん)で原始的なマイギリ式火熾し器で熾した特別な火が使われます。これらの供え物が盛られる食器は神社でよく見る白い陶器ではなく、土を捏ねて焼いた素焼きの手作りのお皿なのですが、このお皿はなんと新品しか使わないそうで、一度使った物は地面に埋めて土に戻してしまうのだそうです。神宮徴古館では実際に供えられる神饌と同じ種類、同じ盛り付けのレプリカを見ることができるので、是非行ってみてください。

【祭典】

このお祭りは前日から参篭している禰宜1名、権禰宜1名、宮掌1名、出仕2名が奉仕します。まず、修祓を行い、参進します。禰宜が務める斎主が高床式の御饌殿に昇ると南北の御扉が開け放たれ、社が吹き抜けの状態になります。そこに修祓によってお祓いをされた神饌がお供えされるのです。何故吹き抜けにするのかは分かりませんが、遠くにいらっしゃる神々に向けてのお供え物だからでしょうか?御饌殿に昇ることが出来るのは参籠した神職さんのみだと言うことです。神饌を供えると祝詞奏上が行われ、すぐに撤饌してしまいます。祭典の様子は神宮のホームページから映像をご覧いただけます。

www.isejingu.or.jp

【1500年の祈り】

日別朝夕大御饌祭は外宮に豊受大神が鎮座された1500年前から行われてきました。戦時下の爆撃機が飛び交う中でも、伊勢湾台風で大水が出た日も、腰まで水に浸かってでも行われ、一日も途切れたことはないそうです。春から秋までは朝8時夕4時、秋から春までは朝9時夕3時に行われています。朝夕の御饌祭が行われている時間に神宮のホームページを覗いてみると「この時間、日別朝夕大御饌祭が行われています」という、いつもと違うトップページを見ることができます。冬の寒くて起きられない朝、夏の嵐の夜、温かい布団やお風呂の中から今も伊勢では祭をしているかな、と思いを馳せるのもよいものです。

 

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